コラム:ディスカス飼育[Vol.2]-水替え・フィルターについて

よくディスカスは毎日水換えするんでしょ?と聞かれますが、答えはノーです。

毎日水替えするのであればフィルターは必要ありません。

アマゾン河の自然の水や東南アジアのペナンやベトナムの水道水のようにそのまま使用出来て,更に時間がたっぷりある、と言うなら別ですがそうはいかないのが日常です。

確かに水換えは気持ちいいものです。
ところがそれが毎日だったらどうでしょう?大変ですよね?それを補ってくれるのがフィルターの役目です。

ではどの様なフィルターがディスカス飼育に合っているのか?

まず理想でいえばオーバーフロー方式、水槽の下にセットする為大きなものが使えます。
次に上部フィルター、これも出来れば大型のものが良い。ただ水槽の上にセットする為重量が問題になります。

そこでウエット&ドライの方式にして重量増を抑え、濾過能力を高めるのも一手です。
フィルターに関しては必ず大は小を兼ねると言いきれます。
当店では大方がオーバーフローになっていて1スパン1トン、その内フィルターが約200L、と言う事は濾過面積20%、ところが普通の上部フィルターであればせいぜい100Lに対して僅か1L、つまり1%の濾過面積しかありません。能力 は?言わずと知れてますよね?

販売の為の水槽ですから多くのディスカスが入っているにしても、普通の上部フィルターの所はほぼ毎日水換えしますがオーバーフローの方は週に2回程、これ程までに濾過面積の大小で水換えのスパンは変わるのです。

あと外部フィルターも使えますがあまりお勧めできません。と言うのも密閉されている為に嫌気層となり易くかなり早い段階からPHの急降下が始まります。


■オーバーフローのフィルター


■ウェット&ドライフィルター ウェットで濾過した水がドライに流れ込む優れ物


ディスカスを飼育していくなかで最も重要なのは水換えなのは言うまでもありません。

フィルターで処理し切れない不純物の除去や下降したPHを元に戻すには適切な水換えが必要、と言う方が正しいでしょうか?
でもいくら日本の水道水が安全とは言っても、そのまま使用する事はお薦めできません。

地域によっては蛇口をひねればPH6.5 ppm30なんて所も日本にあるらしいが、平均してPH7.2~7.4、ppm100~200位を指す所が多い様だ。
この水を使って水換えするのだが、夏場で水温が合っているから、また冬場であったら湯沸かし器を通して水温を合わせ、カルキを抜いてそのまま使用する、もしくは浄水器を通して直接水槽に入れていく人が多いことと思います。

でもこれが実は良くないんですよね?いくら安全な水道水といっても色々な不純物が含まれています。

その不純物がPHやGH,KHの数値の元なのですが、その数値は空気に触れる事によって必ず上昇します。その上昇する変化を飼育水の中でさせたくないのです。

PHが7.2であっても実際はPH7.8以上の水を使っている事になり、急激なPHの上昇を招いてしまいます。これを繰り返せば必ず呼吸器である鰓に害を及ぼします。

では、どの様にすれば良いのか?そこで水を汲み置く、事が重要になってくるのです。


汲み置きの重要性

汲み置きタンクの使い方、意外と知られていないのがエアーレーションの必要性、ただ水を汲み置いただけでは、カルキは抜けてもまだまだ変化する危険な水だと言う事、何リッターであろうと必ずエアーレーションを行い曝気させる必要があります。

要は汲み置きの水に空気を送り込み攪拌させる事によって、PHやGH,KHを汲み置きタンクの中で変化させて安全に水換え出来る水を作ります。
例えば飼育水槽の理想のPHが6.5であったとします。

フィルター内の濾材が上手く働いていれば、過密飼育していない限り一日にPHは0.1~0.2下降します。
1週間たったとしましょう。PHは5.1~5.8になっているはず、これをもとのPH6.5以上に上げる量の水替えを行います。

これはPHの下降具合によるが5.1~6.5に上げるのと5.8~6.5に上げるのではわけが違うとおもいませんか?
PH差が1以上違っている場合はそれだけ多くの水量を水換えする必要がありディスカスの鰓にダメージを与えかねません。

お話した様にペナンやベトナムあたりではPHもマイクロジーメンスも低い水が蛇口をひねるだけで手に入ります。
年中熱いので温度も気にせずそのまま汲み置いてエアーレーションし大量に水換えを行います。

それにフィルターも使わないので飼育水はただ汚れるだけ、汚れたら水換えするというシンプル極まりないやり方。
それと同じ水質があれば汲み置きの水は加工せずに使ってもいいのだがここではそうはいきません。
そこで飼育水のPHの下降具合により汲み置きタンクの水を調整する必要があります。


■どんなファームもエアレーションのみのシンプルな飼育設備(ペナン)


■水が餌で汚れれば取り換える。90%は換えてしまう。(ペナン)


汲み置きに使用する水について

汲み置きの水に使用する水、おかしな言い方かもしれませんが水道の蛇口から直接か?浄水器を通すか?
汲み置いてエアーレーションして曝気させるのだからカルキは抜けるにしても、やはり水質に影響する重金属類などを除去する浄水器を使用する方が良いでしょう。

よく家庭用の浄水器を通した水は大丈夫ですか?と聞かれるがその浄水器によって能力に差があるので簡単にはハイ、と言えません。
実際、アルカリイオン水を作る浄水器もあるのだからまずお持ちの浄水器から出てくる水を計測する事をお勧めします。

さて、汲み置きタンクに水をはりました。
水道水はPH7.1、エアーレーションをかければ必ずPHは上昇します。そこで予めPHが上昇する事を予測してPHを5.5~6.0あたりに調整してください。

6時間以上まわしていれば変化しにくい水が出来上がっています。PHも6.8~7.0あたりになっているはずです。
この水を使って水換えしてやることによって水によるディスカスへのダメージが少なくなるのです。

■(セラ・テトラ各社 PHマイナス) 安全にPHを降下させる

■浄水器

右のシンプルは、カルキ・重金属を除去する。左のクロノスレインはRO浄水器99%の不純物を取り除く純水製造機

更に水の話

汲み置きタンクの安全な水作りに関してご理解頂けましたでしょうか?
次回は汲み置きで使用する水についてご説明したく思います。お楽しみに!


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